企業型確定拠出年金について
企業型確定拠出年金(選択型)とは
公的年金(国民年金、厚生年金)の将来が不安視される中、2019年には老後資金が2000万円不足するというレポートが出されたことは記憶に新しいところです。また、企業の主戦力だと思われる就職氷河期以降に入社した40~50代従業員の将来受給予定の基礎年金は、マクロ経済スライド等により3割ほど減額になり、厚生年金を合わせた合計額でも受給額が月10万円に満たない人の割合が4割近くに達することが懸念されております。(2023年度の生活保護の受給者は約199万人でそのうち65歳以上の方の割合は53%となっており、その多くは少額の年金の受給者だと考えられます。)今後も公的年金制度に関する様々な制度改革が検討されておりますが、将来の生活に対する不安を払拭するためには、これらの改革に振り回されないよう私たち自らが対策を講じていくことが必要だと思います。
現在、公的年金を補完する役目を果たす様々な制度が用意されておりますが、その中でも企業型確定拠出年金は、掛金が税金のみならず社会保険料も対象外となるなど、個人型確定拠出年金(ideco)よりも更に優遇されている制度です。idecoに加入されている社員がいらっしゃれば企業型確定拠出年金への移管も可能です。事業主の方は、是非、この制度を活用して頂き、従業員が老後の心配なく安心して働き続けられる環境を整備して頂ければと思います。
企業型確定拠出年金(選択型)の主な特長は以下の通りです。
(1)事業主の実質的な掛金の負担はなし
掛金は通常は企業の負担ですが、この選択型の場合は、実質的には従業員が捻出したものです。その仕組みは、現在の基本給の中に(内数として)「ライフプラン給付(仮称)」という枠(金額)を設定し、この金額を今まで通り給与として受給するのか、あるいは一部を企業年金の掛金とするのかを従業員自らが選択します。掛金として選択した金額については、先に天引きされ、残りが給与として従業員に支給されます。このように掛金部分については、事業主が新たに負担するわけではありません。
但し、事業主に対し金融機関等への運営費用が新たに発生しますが、通常は、後述の通り従業員の掛金の拠出による事業主の社会保険料の負担減等により、相殺されるか大幅に軽減されるケースが多いです。(加入見込者数によって状況が異なりますので、詳細についてはお問合せ下さい。)
なお、当事務所は一般社団法人確定拠出年金アドバイザリー協会のアドバイザーとして普及活動を行っていることから、当事務所に対しての報酬や手数料等は一切発生いたしません。
(2)従業員の選択が自由
(1)のとおり、ライフプラン給付を給与として受給するかあるいは一部もしくは全部を掛金とするかは従業員が選択します(掛金の変更も定期的に可能です)。掛金を拠出する余裕のない場合、また、新たな制度に不安を感じ暫く様子を見たいと思う従業員は、全額を給与として選択すればこれまでと全く変わりません。なお、掛金を運用する金融商品は、元本保証のものや、リスクの度合いが異なる投資信託の中から従業員が選ぶことになります。なお、従業員の中には自分で運用することに対し不安に感じる方もいらっしゃると思いますが、(一社)確定拠出年金アドバイザリー協会のアドバイザーとなっている当事務所が従業員に対する金融研修の支援も行っているところです。
(3)掛金に対する優遇措置が多い
(1)のとおり、掛金は税金(所得税、住民税)や社会保険料の対象外ですが、運用益についても非課税となっております。また、60歳以降に年金として受給するのか、あるいは退職一時金として受給するのかを選択できますが、いずれの場合も公的な税制控除が適用されます。なお、ideco(個人型確定拠出年金)にも同様の優遇措置がありますが、idecoの場合は社会保険料は対象外にはなりません。
一般的には、給与から税金や社会保険料等が差し引かれ、その後に残った手取り額から将来に備えるために貯金等をしているわけですが、この企業型確定拠出年金の掛金は非課税でしかも給与には含まれませんので、掛金の分だけ減額になった給与にかかる税金は減ることになります。しかもこれに伴い社会保険料の標準報酬額のランクが下がれば社会保険料の負担額も減ることになります(まさに「手取りを増やす」対策です)また、運用益にかかる約20%の税金がかかりませんので、この分が元本に上乗せされ複利効果となり更に運用益が増加していくという好循環が期待できます。なお、60歳まで引き出しができないことは一見デメリットに思われますが、このような効果が中断せずに継続することは受給額を増やすためにはむしろメリットになるものと言えます。
(4)人材採用・定着に有利
企業型確定拠出年金には、現在、全国的には約850万人(令和6年3月末時点)、正規雇用者の約4~5人に1人が加入されており(一方、idecoの方は約300万人)、現在は小規模の中小企業を中心に加入者が増加中です。公的年金は賦課方式であり、現役世代の保険料をそのまま受給世代へ仕送りのように渡す方式のため、高齢者人口の増加に伴い制度の見直しが避けられません。その点、確定拠出年金(企業型、idocoともに)は、個人別に運用資金が管理されますので、これらの制度改正とは無縁であり、公的年金の補完手段の主流になるものと見込まれています。なお、企業年金は導入するための作業が大変煩雑であり、人員体制が整っている一部の大きな企業のものであると思われがちですが、企業型確定拠出は企業が単独で行うものだけではなく、ご案内しているような共同で行う(いわゆる総合型DC)というタイプが出てきており、少人数(社会保険加入者2名以上)でも加入ができることもあり、特に中小企業での加入者が増加中です。
大企業や中堅企業からの転職者については、企業型確定拠出年金が転職先の企業にあれば引き続き運用を継続することが可能になります。また、退職金制度をお持ちでない企業にとっては退職金と同様の役目を果たす(退職一時金としての受給も可)ことになり、更に、既に退職金制度をお持ちの企業の場合は併用することにより、従業員が将来の不安に万全の対策を取ることができます。
(5)掛金は無駄にならない
公的年金の場合は個人別に掛金が管理されているわけでないため、不幸にも万が一加入者が途中でお亡くなりになった場合には老齢年金が支給されることはありません。一定の条件を満たす場合には遺族に遺族年金が支給されますが、遺族基礎年金は保険料の納付要件を満たした場合でも18歳以下(年度末まで、但し1~2級の障がい者の子は20歳まで)の子供がいないと支給対象になりません。また、遺族厚生年金も納付要件を満たした場合でも、本来支給される予定だった報酬比例部分の4分の3しか支給されません。しかもその場合でも受給者が自分自身の老齢厚生年金を受給するようになった時(一般的には65歳)は、老齢厚生年金を上回る場合のみにその差額分しか支給されなくなります。
その点、企業型確定拠出年金は、残高が全て遺族に支給されます。なお、それとはやや異なりますが、採用後の従業員がもし企業型確定拠出年金制度がない企業に転職された場合でも、idecoに移し替えることにより運用を継続することができますので、決して無駄になることはありません。
(6)インフレから資産を守る
現在、2~3%の物価上昇が定着してきています。現在の現金100万円を何もしないままでいると、仮に3%の物価上昇が続く場合、その実質的価値は5年後には約86万円に、また、10年後には約74万円に減ってしまいます。(3)で説明しました通り企業型確定拠出年金(選択型)には、多くの優遇措置がありますので、これらを活用して各金融商品のリスク(リスク=危険ではありません。リスクとは変動の幅のことです。)を理解しながら、生活を防衛していく必要があると思われます。
宮崎県内では、残念ながらごく一部の企業を除きまだ企業型確定拠出年金は浸透しておりません。また、マスコミ等により個人型確定拠出年金(idoco)やNISAは取り上げられことがあっても、企業型確定拠出年金は(ごく一部の方々のものと思われているせいか)見聞きすることがほとんどありません。しかしながら、このような状況だからこそ他社との差別化に大きく役立つのではと考えます。
このように、企業型確定拠出年金(選択型)には数多くのメリットがありますので、是非、加入についてご検討をして頂くことをお勧めします。
特に、近年は新規学卒者の獲得のため、到底持続可能とは思われない賃上げ競争に中小企業も巻き込まれています。このような状況に対し、以前県庁で中小企業支援の仕事をしていた私自身も大変危惧をしているところです。賃上げの原資の確保はもとより、若手ほどは賃上げの恩恵を享受できない戦力である中高年職員の意欲の低下も心配です。(ほとんどの方は世間の情勢でやむを得ないと思っていると推測しますが、それでも就職氷河期を経験された方々には複雑な思いはあるのではないでしょうか?)大企業と同じ土俵での競争を避けるため、及びこのような中高年へ将来の恩恵にもつながる企業型確定拠出年金(選択型)を活用しながら、従業員を大事にするという会社のメッセージをアピールをして頂きたいと強く思います。
なお、加入の申請にあたりましては、就業規則等の提出が必要になります。未作成の場合はお知り合いの社労士に相談して頂くか、当方でも作成を承っております。
もし、お問い合せ等がございましたら、ホームページ内のCONTACTのフォームでお気軽にご連絡をお願いいたします。
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